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【Akemi(ハーデス観光)】全10-1


1「ハーデス観光株式会社」

 ツアー雑誌MOMO編集記者の新見がハーデス観光を取材で訪ねた。

「MOMOの新見と申します。本日はよろしくお願いいたします。
まず、社長さんのお名前を教えていただけますか?」

「はい、私はハーデス観光代表の高橋明美と申します」

「早速ですがハーデス観光さんのハーデスとは何を表わしてますか?」

「ハーデスとは、黄泉の国・冥土。つまり霊界ですね」

新見が首を傾げ「黄泉の国・冥土・・それは、どういう事ですか?
具体的にお話し願います」

「その名のとおり、霊界の観光が当社のツアー商品です。霊界とは死んだ
後に逝く世界をいいます。

本当は、あの世が実存の世界で、この世は仮りの世界なんですよ。
この世界は夢のようなものです。

手前どものツアーで行くハーデスは多数存在します。
簡単に申しますと、地獄絵図のような世界から宇宙を創造した世界まで。
この世もある意味その一部ですが・・・

私を含め当社スタッフが解りやすくするために何度か霊界に足を運び、
大きく7つのハーデスに分けました。つまり、下から上に7つの
ハーデスに分けたのです。

 詳細は、ホームページにも書いてありますが簡単に説明いたします。

まずハーデスには時間という概念が存在しません。どんなレベルの
ハーデスにも時間が無いのです。思いが即形になります。

そこが一般的に霊界と呼ばれる時間のない世界と、今私たちの住む
時間軸のあるこの世との大きな違いです。

怪訝な顔をした新見が「例えば?・・・」

「現世では想像が形になるまで一定の時間差が生じます解りますね。
仏教でいうところの因果です。原因があって必ず結果が生ずる。
そして原因と結果までそれぞれタイムラグがあります。

ハーデス世界は、そのタイムラグが無いんです。原因と結果が同時に存在するんです。

時間が存在しないということは、思うと同時に、その思いが即形になるんです。
だから、誤魔化しが一切通用しないのです。理解していただけましたか?」

「それって、邪悪なことを思うとすぐ形になるという事ですか?」

「ご理解が早いです」

「ありがとうございます」

「では、私どもが分類したハーデスを下から順に説明いたします。
本当は下からという表現も的確でありませんが、この世的に便宜上、
上下をつけてます。ご理解ください。

では、まず第1から説明します。

第1ハーデス
これは、俗に云う地獄のハーデス。
他人の物を奪い、傷つけ、自分を優位に立たせることしか考えていない、
修羅場の世界を云います。自分の欲望のためには手段を選ばない、
欲望丸出しの地獄世界です。人だけでなく当然町や建物全てが歪です。
住人の想念が町全体の形に反映されるからです。

第2ハーデス
これは、自我優先のハーデス。
自分のことしか考えていない個人優先の世界。自殺者や金や地位、名誉と
いった自分のことだけが優先される世界です。
第1ハーデスと似ていますが、根本が個人優先主義なので、直接他人に
危害を加えないところが第1との大きな違いです。
でも、結果的に間接的危害を及ぼす事は普通にあります。

第3ハーデス
ここは人間界に最も似ているハーデス。
我々の住む物質世界的な要因の強いハーデス。但し、物を中心に思考します。
人間界と大きく違うのはそこです。思いやりは欠損してます。物欲界という
表現を我々は使います。自分主義世界はこの辺で終わりです。


第4ハーデス
ここは、自分の意識の合う者同士が集団を作って生活してます。
この世で、たとえ親子や夫婦であっても意識が違うと一緒に生活しません。
生活する集団が個々に違います。この考え方は霊界全般では当たり前の
概念です。こっちの世界のように、気の合わない者同士一緒に住むことは絶対ありません

何故なら自分の意識が合う場所、そこが一番落ち着くからです。
人間界は意識が違っても自分の思いをを押し殺したりして関係を保ちます。
このハーデスは魂のレベルのあった者同士が一緒に住まう世界です。

人間界より素晴らしい世界です。簡単に表現するなら与え合う世界。

余談ですが、本当は魂にレベルなんてのはありません。私どもが
便宜上、わかりやすく使ってるだけです。誤解しないで下さい。

第5ハーデス
ここは、俗にいう神界と呼ばれるハーデスです。
神々と呼ばれる存在が住まう世界です。人間の特に日本人のいう
神とニュアンスは少し違います。これは集団意識の違いになるので説明は
避けますが、仏教で表現するなら菩薩界に相当します。人間的な葛藤はありません。

第6ハーデス
ここは、全ての調和。宇宙意識のハーデスです。
人間的な意識はもうここにもありません。当然、善悪など相対する意識も一切無く、
仏教で表現するなら空の世界観、もしくは如来界でしょうか・・・私のレベルでは
上手く表現できないハーデスです。善悪という概念を超越してます。

第7ハーデス
ここは、宇宙そのもの、あるいは宇宙を作った存在かもしれません。創造主でしょうか・・・?
言葉にするとどうしても私の意識制限があり恥ずかしい話し、宇宙観が小さくなってしまうので、
非常に説明が難しいです。それほど人間的な表現が難しいのがこの第7ハーデスです。

以上、私どもが作成した7つのハーデスです。解っていただけましたか?
ご質問があればどうぞ」


「実際に社長さんも視てきたんですか?」

「当然です。私の考案した装置ですから」

「それはどのような装置なんですか?」

「我が社が開発した装置で、強制的に体外離脱して各ハーデスを旅するんです。
必ず馴れた社員が添乗いたします」

「それって、既に市販されているヘミ進化という装置とは違うんですか?」

「違います。ヘミ進化装置は、自分が体外離脱して霊界を視てくる
と云う商品で、どちらかというと客観的に視てくるというものです。
3D映画を見ている感覚に近いかも知れません。

それに誰でも体外離脱出来るという保証もありません。
我が社のハーデスとはリアル感が全く違います」

「ハーデスは誰でも体感出来るんですか?」

「今のところ100%出来ます。万一出来ない場合はお代は頂きません。
二次元的客観視が他社なら、三次元的主観的感覚が当社。
両者を経験するとその違いがハッキリ解ります。

当然、当社は説明したように馴れた者が添乗します。万一の場合は添乗員が
責任を持って誘導します。因みに今まで一度も事故はありません」

「料金はいかほどなんでしょうか?」

「1~6ハーデスがワンセットでで60万円。1ハーデス1時間、計6時間。
途中、休憩を挟みます。オプションは1ハーデス15万円です」

「オプションもあるんですか?」

「例えば、死んだ母親のハーデスを視てくるとか、尊敬するマイケルや
ジョンレノンに会うとかその他諸々あります。すべて1ハーデス15万円です。

但し、6ハーデスに組み込むことも出来ます。例えば第1ハーデス
を体験しないでその代わりに死んだ父親が住んでいるハーデスを加え
6ハーデスにするというものです」

「チョイスも出来るんですか?」

「はい、当然可能です。2回目以降のお客様は、第1と第2を飛ばされる
方が結構多いです。あのハーデスは暗いし、悪臭がひどいですから・・・
今ひとつ人気がありません。でも存在するので無視できません。
この世での考え方や行いの教訓になるから必要と考えております」

「臭いもするんですか?」

「当然です。これは経験されないと解らないと思いますが、下位のハーデス
は異臭がします。空気も澱んで重く感じますし、何より全体が薄暗く常に
監視されてるというか突き刺さるような視線を感じます。

その視線が気になったら最後、そのハーデスを出るまで感じられる
場合もあります。不思議とだんだん慣れますけどね。
実際に体験しないと解らないと思います。

ハッキリ云いますが錯覚でも誘導催眠でもありません」

「私も個人的に経験したくなりました。予約は電話でよろしいのでしょうか?」

「電話もしくはメール、あるいはご来店いただくかです。どんな方法でもかまいません」

「準備とか必要ないのですか?」

「はい、3日前から心をニュートラルに保って下さい。怒りや執着を
持ってるとそのハーデスに引き込まれやすいからです。
添乗員が付いてますから大丈夫ですけど・・・出来れば執着がない方がベストです」


 「それではこの辺でインタビューを終了いたします。お疲れ様でした。
ありがとうございました。高橋社長、私も興味あります・・・
体験してみたくなりました」

「そうですか、じゃあ企業秘密をひとつ教えます。他言しないで下さい」

「はい、他言しません」

「はい、これは決して悪いことではありません。例えば、第5、
第6ハーデスを何回か経験すると。その波動が体験者つまりお客様と
同調して意識が引上げられます。それが、この世に戻っても持続するんです。

当然個人差はありますが・・・ここだけの話し悟り体験です。
もう少しこの装置を発展させれば、実際に悟りを開けるかもしれません。
これは私が第5ハーデスで科学者から聞いたことですが、昔、といっても
アトランティスの頃ですが実際にその装置で悟ってたらしいの。

そのエジプトには悟りの部屋という所がありそこに何日間か籠もってた
らしいの。いずれ当社がその装置を作ってしまおうと考えてます。準備はもう進んでます」

「高橋社長、夢のあるお仕事ですね、完成のさいは是非、当社MOMOに
ご一報下さい。また、大々的に取り上げますから」

「いいえ、大々的に騒がれるのは私共、望んでいません」

「高橋社長は欲のないお方なんですね。尊敬しちゃいます」

「ありがとうございます」

「じゃあ、今週の土曜日に予約入れますけど。その体験も記事に書かせてもらって
良いですか?」

「それは全然かまいません」

「凄く楽しみです。ワクワクします」

「じゃぁ、私が添乗しますね、数日間は心をニュートラルにして下さい」

新見は、第1から第6ハーデスのフルコースタイプを選択した。
注意事項が書かれた説明書を渡された。

<ハーデス体験誓約書>

※1,万一精神的な損傷があった場合は自己責任とする。

※2,ハーデス世界の政治やその他の組織に関与したり、社会に影響を
   及ぼす行為はしない。

※3,各自の思い描く世界観とハーデスが違った場合でも、クレームの
   申し立てはしない。上記記載に従います。

新見は60万円と誓約書を高橋社長に渡した。

高橋が「では、こちらの部屋にお入り下さい」

通された部屋は4.5畳ほどの大きさで真ん中にリクライニング椅子が二つ並べてあった。

関係者らしい白衣を着た女性が装置を点検していた。

その女性が「私がこの機械操作担当の水上です。宜しくお願いします。
この装置を耳ではなく、頭の前と後ろに装着して下さい」

渡された装置はヘッドホンのような形をしていた。前と後ろにあてがい、
その椅子に仰向けになった。その後、両耳にイヤホンが装着された。

同じ装置を高橋社長も装着し横になった。二人のリード線は一台のモニター
付きの機械に接続されていた。

「いいですか、これから経験する全てのハーデスは今の新見さんの魂
が住む世界ではありません。あくまでも今いるこの世界が現実です。
不安に感じた時あるいは私が指示した時はこのコマを回して下さい」

水上は手の平に入る大きさのコマを渡した。

「このコマがずっと衰えることなく回り続けている所は疑似体験つまり
ハーデスの世界です。コマの回転が段々弱くなってくるハーデスは、こちらの世界です。

理屈はこうです。時間が無い為、コマは永遠に回り続けます。
時間の制約があるこの世界は、必ずコマの回転が弱まって倒れます。
つまり新見さんが寝ているこの世界です。覚えておいて下さい。

では、これからリラックスするための音楽が流れます。目を瞑り眉間に
意識を集中して下さい。じゃあ、始めます。良い旅を」

水上は部屋の照明を絞り、装置を作動させた。

新見に言いしれぬ高揚感が訪れ横に何かの意識が感じられた。

その意識が語りかけてきた「リラックスして下さいね。段々と視界が
開けてきますけどまだジッとしてて下さい。私が案内しますから心配はいりません」

こうして新見のハーデス旅行は始まった。
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