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【不思議な黒石-(Kyoko)】全12-4

4、蘭島村中学生

  ある日のこと余市町のとなり蘭島村の中学生の中でシリパのことが噂になっていた。 

女子生徒クミ子は同級生のアケミに放課後、この地方独特の訛りのある口調で話しかけた。

「ねえアケミさぁ、狸小路のシリパっておばさん占い師のはなす聞いた?」 

「なにそれ?あたし聞いたこと無いベさ・・」

クミコは「何でも、狸小路商店街が終わる頃、イスとテーブルを持った
オバサンがどっかから湧いてくるらしの、そのオバサンの名前がシリパって
いうんだと。一説によると宇宙人って噂もあるっぺな。

ほんでもって相談者が来るとズケズケ喋るんだとさ。それが本人はガイドとかいう・・・
簡単に云うと守護霊らしいけど、相談者のそのガイドの言葉を通訳する人らしいのよ」 

「へぇ・・」 

「そんで、面白しれえ話しがあんのよ。シリパが店をはじめて間もない頃、
ヤクザ者が所場代よこせって来たらしいけど、たんかきって追い返したらしいのよ。
その時にそのヤクザ者の二人に、お前ら明日病院で診てもらいなって追い返したらしいの。
ほんでその二人が、またのこのこ病院に行ったらしいのよ。

笑っちゃうべ。そしたら二人とも重病だったらしいの。
それ以降、その二人は今じゃあ差入れ持って訪れて姉さん待遇だってさ。
口癖が金返すから帰りなって言うらしいの。中には弟子入りした女もいるとか」

うわさ話は少し大げさになっていた。

「おんもしれぇな、それ」

「まだあんだ、相談者の過去・現在・未来を視て、ガイドから伝言を貰って話すんだとさ」 

「おんもしれえなそれ。うんでもって誰からさ聞いたのその話しっこ」 

「なんでも、ミヨリのネエチャンが視てもらったんだとさ。内容は聞かなかったけんど」

「おっ、あの出戻りのネエチャンか・・・たぶん内容は男のこったべな、ハハ」

「あれだばそんだぁな」

「まちがいねぇべさガハハハ・・・」

数日が過ぎた。学生達は逢いたいという話しに発展し、ユリ子が幹事となり話しを進めた。
しかしまだ中学生。しかも蘭島から夜の狸小路は許可が出ない。そこで知恵者のマキ子が言った。

「まず視てもらいたい人が何人集まるか人数出すてみない?」 

「ほんで?」

「人数によって1人いくらって予算をたてるのさ。それで日中に札幌のカラオケで部屋借りるのさ。
集まった金からシリパさんに日当払って部屋代払ったら中学生でも出来ると思うわさ・・・どお?」 

「おおマキ子おめ、頭いいな。昨日納豆かなんか喰ったが?」

「で、何人集まるか放課後までに集計ね」マキ子が言った。

放課後あつまった。

ユリ子が「男5人、女7人の計12人になったべさ」

「シリパさんの見料いくらが妥当だと思う?」

クニオが「俺の父ちゃん大工なんだけど他の大工さん借りるとき一人工、
一万五千円って話し耳にするけど・・・」 

トシユキが「ば~~か、それ大工の話だんべよ。占い師は大工と違うっぺな」

ノリ子が「占い師に人工ってあるの?それよりか一万五千円しか
予算ありませんってハッキリ言った方がいいかも」 

「賛成」全員が賛成した。

ムカイが「で、誰が交渉するのよ?」

アケミが「私の兄ちゃんが札駅で働いてるから仕事帰りに寄って交渉してって頼んでみるわさ」

ノリ子が不安そうな目をして「アケミの兄ちゃんにそんなこと頼んでいいの?」 

アケミは言った「大丈夫、わたし兄貴の秘密握ってんだ。絶対うんって言うよ」

「秘密ってなに?」

「兄貴ねえ高校生の時エロ本、しかも無修正のやつ机にそのまま置いて学校行ったのね。
そんで私が発見したのよ。母親に見つかったら大変なことになるから隠して置いたのね。
それで貸しを作ったのよね。それをネタに兄をゆすり続けてるダッペ・・・今もね・・・」

ユキオがニヤけて「おめえ悪い妹だなぁや。まるで不良女だな・・」

シリパとの交渉は成立し日時も場所も決定した。

札幌駅近くのカラオケ店で決定した。日当一万五千円。会場費は生徒持ち。
小さい部屋と30名入る大部屋を予約した。

当日、生徒達は札幌駅に着き、早めの食事を駅地下食堂でとることにした。 
全員期待を胸に今からワクワクしていた。

そんなときマサコが「すんげえな、やっぱ札幌は人が多いな。なんかお祭り
みてえなもんだな~~や」

「男も女も都会風でどこかあか抜けしてるでや」 

ゆきおが「着てる服も赤や、ピンクや水色だのちょっとケバくねえか?」 

向井は「おらが村は茶か黒かグレーだもんな・・・」

ゆきおは「女も雑誌から出てきたような格好いいの多いな」 

向井が「あそこの三人組見てみろや。目っこさキョロキョロしてるぞ。
ありゃ完全にカッペだな。間違いねぇべや。俺ぐらいになると見れば解るべ。
カッペくせぇ・・ガハハハ」 

全員、思い思いの事を口走り辺りを見回し、目はキョロキョロしていた。


 待ち合わせ場所。時間ちょうどにシリパは派手目な装いで出席した。

「はじめましてシリパです。今日は呼んでいただきありがとう。君たち何年生かな?」 

「中三です」

「蘭島村だったよね、わたし余市町なの宜しく」

生徒のひとりが「シリパさんもカッペか・・・」

すかさずシリパは「おめぇ、なんか言った?」

「・・・・・」 

「じゃあ始めよっか?順番決めてきた?」

「決めてません」 

「そっか、じゃあ私をカッペといったお前から。名前は?」

「トシユキです」

「他は順番決めておくようにね」二人は大部屋から出て行った。 

「おい、シリパさんって威圧感あるな。やっぱヤクザもんが一目置くの本当だわ・・」全員うなずいた。

各自思いや相談事を打ち明け、予定の120分が過ぎた。シリパは大部屋に戻ってきた。

「今日はどうもね。とっても楽しかったわ。今度は私がみんなを接待するから
もう2時間延長しない?当然私の接待だからみんなは全部無料でどう?」

生徒12人は互いの顔を見合わせ大はしゃぎした。

幹事のユリ子が「申し訳ありません」 

「なーに、利益は酔っぱらいオヤジから頂くから、みんなは気にしなくていいの」

全員が笑った。

「さて、2時間どういう風に使う?、裸踊りしろて言うならやっちゃうよ。どう?トシユキ」 

全員が又笑った。

「あのう・・・いいですか?シリパさんは彼氏いるんですか?」 

「いないよ。今、興味のある男は周りにいないのよね」 

「昼間は何やってるんですか?」 

「曲作ってるよ。あのさ、私のことより君たちのこと話そうよ。せっかくだからさ。
いいかい、私はいつも相談者に言うことは、自分の好きなことやってというのね。

自分の好きなことやってる時と、笑ってる時がバイブレーション高いのよね。
さっき私の接待で無料と言った瞬間、あのみんなのバイブレーション最高。
凄く良かったわ忘れないでね!

これから高校・大学、そして社会に出てバカな上司に気を遣い生きていくのよ。
でもどんな時も笑いを忘れたら駄目。

落ち込んだときは友達に会うなり、自分の好きな趣味に没頭するなり、
映画を見るなり何でもいいの。

その行為が楽しいものならね。但し、万引きなど人に迷惑掛かることは駄目よ。
された側のバイブレーションが下がるわ。

宇宙には作用反作用の法則があって、マイナスのバイブレーションを与えると
それと同じマイナスのバイブレーションが自分に還ってくるのよ。

だから気をつけてね。そして、いき詰まったからってすぐ私のとこ来るんじゃないのよ。
極力自分で解決する癖つけるのよ。すぐ他人に依存する癖をつけないこと。
相談者に多いの依存癖のあるひとが。何かあるとすぐ私の所に来るのね、
自分で解決しようとしなくなるのよ。他人に依存癖ね・・・

極力自分で解決するのよ、そういう癖をつけてね・・・私のようなところに来る
時はひとつの意見を聞きに来るぐらいでいいの・・・解った!

目の前に出てきた問題はあなたのために、タイミングを計って出てきたものなの。
言い方を変えろと解決できるパワーがあなた達に既に備わったから出てくるのね。

解決できない問題は目の前に出てこないの。それ大事なことなの解った!」 

「ハイ!」 

「若い子は素直でいいねぇ。それと、すぐ人に頼る癖付けるんじゃないよ。
いつも誰かに頼らないと生きていけない人間になるよ。

私のとこに来るときは最後の最後にしな。その時はお互いの顔忘れてると思うけど
○○年前に蘭島から12人でカラオケボックスで話を聞いた1人です。と言いなよ。
そしたら私は、それがどうしたの?って言うから」

生徒全員コケタ、そして爆笑した。

「あと、差入れはいつでもお受けいたします。但し5人分ぐらいは持ってきてね。
売れない画家やミュージシャンが多いのよ。狸小路はとくにね。そいつらに喰わせるの。

餌付けしておくと何かあったら、すぐ私に従うから便利なのよ。
どっかの犬猫と同じよ。まっそれはじょうだんだけど。あと何かない?

みんなが興味ある質問がいいな。君なんかない?」

「宗教についていいですか?」 

「私、宗教は知らないけどいえることは、あっちの世界に行くと宗教という
概念が全くないのよね。宗教という概念はこっちの世界だけなのよ。

つまりこっちの世界で人間が作ったのが宗教。もう宗教は必要なくなるって
私のガイドから聞いたわ。宗教に入りたい人は自由だけど盲信だけはしないで。

中道っていってニュートラルがいいのよ。柔軟性があって・・・難しかった?」 

「はい」

「人の心は余裕が大事。偏ったら息が詰まってくるのよ」 

「シリパさんは今後もこの商売続けるんですか?」 

「先のことは解らないわ。私の場合なんでも極端なのね。辞めたいときが辞めどきかな?」 

 
 話しはあっという間に2時間が過ぎた。

「そろそろ時間だわ。だれか最後聞きたいことある?」

「運命について」

「おっ!深い質問ね。人は生まれる時にやらなければならない
スケジュール表を持ってくるのね。それに沿って人生を歩むの。

ある年齢になったら働いて、ある年齢になったら結婚して、そして子供を作り、
結婚しない方向を選ぶ人もいるのは当然。

会社を起ち上げたり倒産させたり。そしてある年齢になったら死ぬ。

人生の大きな分岐点に来たらガイドが応援するからね。心の深いところで
小さな声がするから心を落ち着かせ耳を傾けてね。

そして自信持って道を選んでちょうだい。選択するとき表面の大きな声は
無視していいわ。心の深いところで小さな声がポイント。

但し!よこしまな思いだと判断を間違うるからね。解った?トシユキ」

「あっハイ」

「あと最後に、自分の目標を打ち立てること。これは声を大きくして言うよ!
どんな事でもいい。目標を持つ。達成出来たら又、次の目標を立てる事。

私の処に仕事の事とで相談に来る多くの方は、その辺が欠如してるのね。
やりたい仕事が見つからない。そういう人って本当に多いけど生きてる限り
やることあるからね。死ぬまである。

目の前に出て来た事は全部意味があるからね。そして、人生は放棄しないでよ。
わかった?約束よ。

難しい事ないの。心に柱を立てるのよ。

行き詰まった時くじけそうになった時、その自分だけの柱にしがみつくのよ。
そしてその柱の意味をもう一度思い起こすのよ。

間違ったと思ったらその柱をぶち壊し、また新しい柱を立てなよ。

チンチンじゃないよクニオ・・・柱だよ柱。期待してるわ。自分らしく生きることを。
世間に惑わされないでね。今日は楽しかったよ。ありがとうね・・・愛してます」

全員潤んだ目で拍手した。しっかりシリパと握手をして別れた。

列車の中で生徒が「今日は・・・なんかスカッ~とした気分」

「おらの村の村長になって欲しいな~や」 

「んだな」 

「シリパさんカッコええよな・・・嫁さんにするには怖いけど・・・」 

シリパという異色の存在を目の辺りにした蘭島生徒は帰宅した。

シリパはまた路上に座っていた
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