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【Amatel】全十夜-2

第二夜「ゆらゆら」

 ニャン吉がハマとハチとアマテルの母マミを呼び寄せた。

「アマテルとマユから連絡はあったか?」

ハマが「まだです、予定の時間を過ぎても音沙汰ありません」

ハチが「わたし・・・イヤな予感がする・・・」

「ど・どんな?」母親のマミが不安そうな顔で言った。

ハマが「どちらかが災難にあってもどちらかは必ず報告してくるはず。
それが無いということは・・・二匹一緒に、なにかあったと考えるべきかと・・・・」

ニャン吉が「また誰か銭函に向かわせようかのう・・・」

ハマが「待ってください。もし二匹が災難にあったのなら、同じ事を繰り返さ
ないように二の手三の手を考えましょう」

ニャン吉が「例えばどんニャ?」

「わかりません・・・ニャ・・・」ハマが下を向いてしまった。

ハチが「わたし、とりあえず一匹で銭函に行ってみるニャ。なにか手がかりが
みつかまるかもしれませんニャ」

ニャン吉が「いや、わしが行く二匹に指示したのはわたしだから・・・」

ハチが「ニャン吉さんはここに残ってください。何かあったときの指示は
ニャン吉さんじゃないと出せませんから銭函はこのハチに任せてください」

マミが「ハチさん宜しくお願いします・・・」深々と頭をさげた。

そしてハチは銭函に向け走り出した。


 銭函の町に着いたハチは猫の集まりそうな場所を探したが、
なんの手がかりも掴めないまま小高い場所に腰を下ろした。

「二人はどうしたんだろう・・・この町は猫が争った形跡は一切ない。
たぶん二匹も同じ見解だったにちがいない・・・ということは祝津へ帰る途中で・・」

ハチは戻ることにした。途中警戒しながら祝津にさしかかった。

「???・・・・なにも変化は無い・・・」

そう思った瞬間だった。

「・・・ん????あれは???」

祝津漁協に二匹の猫と一匹の犬が確認された。アマテルとマユそして
犬の伝助だった。

犬の伝助もやはり同じ世界に紛れ込みアマテルとマユに出くわしたのだった。

「お~~~い。!アマテル~~~・マユ~~~~」力一杯ハチは叫んだ。

三匹は声のする方を振り返った。

アマテルとマユが同時に「ハチさん」喉を鳴らし声をはり上げた。

ハチが「二匹とも戻ってたニャン・・・よかった」

「?・・・・???戻った??」アマテルが呟いた。

マユは「ハチさん、みんなどこいったニャン?どこか隠れたダニ?」

ハチが「???なに・・・・?なんのことニャ?」

アマテルが今までの経緯を説明した。

ハチは「嘘・・・嘘でしょ・・・ニャンかの間違いでしょ・・・
あんた達・・・わたしをからかってる・・・?ニャン?」

伝助が「いや、ハチの話しは本当のことなんだ」

アマテルが「たぶん、私たちと同じ現象だと思われます。話しを整理すると、
送り出した祝津のみんなは普通通りなの、つまり私たちが帰ってこないこと
になってる。たぶんハチさんもここにいるということは、向こうには
帰ってない可能性があるニャン」

伝助が「どういう事か解りやすく・・・説明して欲しいワン」

アマテルが続けた「たぶん私たちは別空間、別世界の祝津に戻ってきたの
かもしれないニャン・・・」

伝助が「その辺のところが解らん・・・ワン」

アマテルは「同時に平行する別の世界だと思います。なんらかの事情で
私たちは似たような・・・でも違う世界に迷い込んだのかもしれません」

マユは「つまり、もとの世界では私たちの帰りを待つみんなが普通に
存在するっていうことなの?」

アマテルが「そうなのよ・・・だから向こう世界から私たちを探しに出たのが
ハチさんなの。でも銭函の帰り道どういうわけか、私たちのように、こっちの
世界に来てしまった・・・というわけ」

伝助が「なるほど・・・アマテルの話しは理解できた・・・が、どうやって
元の世界に戻るの?」

「解りませんニャ・・・・」

全員耳とシッポを垂らした。

マユが「とにかく祝津のみんなは普通どおりだってこと。私たちが別世界に
来てしまったてこと、つまり向こうのみんなは安全ね」

ハチが「あとは、私たちが戻る方法を考えればいいのね・・・」

伝助が「それが問題だワン」

アマテルはその場に座り込んで毛ずくろいをはじめた。


 祝津ではハマが「どうしよう、ハチまで帰ってこない三匹とも絶対
なんらかのアクシデントに遭遇したに違いない」

ジン平も「ハマのいう通りだニャ。いったい何処に行ってしまっただニャン」

そこに犬の稔が声をかけてきた「ねぇ・・・猫さんたち、伝助さん見なかった?
昨日から見あたらないダニよ」

ハマが「伝助さんもなの?うちらのハチ・マユ・アマテルも帰ってこニャイ・・・
ダニ・・・」

「えっ?おたくらもダニダニ?」

ハマが「伝助さんがいなくなる前、なにか変わったことは無かった?」

「全然普通だワン。そういえば運河の方に用事あるって言ってたけど、
行ったかどうかは知らない・・・ここだけの話し、伝助さんは運河の近くに
彼女がいるらしい。これ、奥さんには内緒にしてね・・・」

稔は口が軽かった。

ハマが「まったく、男は猫も犬も一緒かよ・・・おばかさんだニャン」

ジン平が「なんか言ったかい??」

「なんでもニャアよ・・・そんなことより伝助さんもいなくなったという
事は??・う・・ん?さっぱり解んね・・・ミャ」

甚平が「神隠しかも・・・」


 その頃アマテルはある仮説を立てていた。

「わたし聞いたことあるのパラレルワールドっていう考え方なんだけど。
平行して同時進行の世界が複数存在するっていう話しなの。

その幾つかの世界には、やはり幾人かの自分が存在していて、お互いなんら
かの形で影響し合ってるっていう考え方なの」

伝助が「アマテル・・・申し訳ねえけんど、もちっと解りやすく言って
くんえぇかな・・・」

「今いるこの祝津と隣り合わせの祝津が同時に存在するの」

「同時にったって???見えねぇべよ??それどこだ何処にあるんだ?
その祝津は??どら・・・?」

「それが目に見えないのです・・・」

「目に見えないものをどやって確認するんだ?」伝助は憮然とした態度になった。

「そうですよね・・・でも、今回の件は間違いないと思うんです」

ハチが口を挟んだ「ひとつ聞いていいニャ?そしたら、こっちの祝津にも
別の私たちがいるって云う事?」

「そう言うことです。ただ、ひとつの空間というか次元にふたりの自分が
同時に存在するかどうか解りませんけど」


伝助は「う~~ん。アマテルの言いたいことは理解できるが???何で?」

アマテルが「・・?解りません。でもひとつ提案があります。昨日、わたしと
マユとハチさんが朝里からの帰り道のどこかで、こちらの世界に迷い込んだと
思うの。だからもう一度同じ道を戻ってみたらもしかしたらって?」

ニャン吉が「それなら運河の辺りかもしれないぞ」

マユが「なんか根拠でも?」

「うん、わしは昨日、運河のオルゴール店の辺りに、藪用で出かけたんだが、
その辺から祝津の間かも・・・」

アマテルが「いいことを聞きました。じゃあみんなでその辺まで行ってみましょう」

全員運河に向かって歩き出した。期待と不安を胸にオルゴール店の辺りに
到着した。注意深く辺りを見回した。

アマテルは「じゃあ、このまま祝津に向けて戻りましょう。とくに空間の歪みに
気をつけて歩いてください」

ニャン吉が「空間の歪み?どういうことニャ?」

アマテルが「わたしの憶測ですが、次元と次元の狭間では、空間に歪みが
生じると思うんです。晴れた日の空気の揺れみたいな・・・上手く説明で
きないけど暑い日の陽炎みたいな歪みです」

マユが「なんとなく解るニャン。みんな気をつけるんだよ」

一行は来た道を戻り始めた。

歩き始めてから10分ほどした頃だった。

アマテルが声を出した「みんな止まって!・・・」

マユが「どうかしたミャ?」

「そこが???なんか??」 アマテルが恐る恐る近寄った。

アマテルの憶測通りちょっとした空気の歪みのような場所が存在した。

ハチが「この感じ知ってるミャ・・・こんな感じのところを通った時少し
目眩がしたからわたし覚えてるニャン」

伝助が「どうするワン?」

マユが「とりえず誰か通ってみよう・・・ミャン」

ハチが「じゃぁ、わたしが先に通るニャン」そう言ってハチは歩き出した。

次の瞬間ハチがその場から幽霊のように消えてしまった。同時に空間の歪みも
消失した。

マユが宙を見つめながら「アッ・・・空気の歪みも消えてる???」

伝助が「アマテルどういうことだワン??」

アマテルが「・・・・?解らニャイ・・・・」

また全員シッポを垂らした。


ハチが「あれ?・・・みんな???もしかして・・・」そのままハチは
祝津に方面に走り出した。

漁村ではハマが「ハチまで帰りが遅いけど大丈夫だろうか?」

その時、遠くから急ぎ足で走ってくる猫が視界に入った。

誰かが「あれは・ハ・チ?ハチだハチが無事戻ってきたよ。みんな~~
ハチが戻ってきたミャ」

ニャン吉が「誰か水の用意してくれ」

ハチは水を一気に飲んだ。

「おう、よく無事戻ったのう・・・早速だがアマテルとアユは見つかったか?」

ハチは「ハイ、おりましたニャン・・・今まで一緒でした・・・だけど」

アマテルの母親マミが「あの子達は無事なのかい?」

「はい、無事です」

聞いた瞬間マミの目には涙が溢れていた。

ハチが事の経緯を話した。

マミが「じゃぁ、その空間の歪みが別世界との出入り口になるのね?」

ハチは「たぶんそんな気がします・・・ミャ」

「じゃぁ、あの子達が戻るのは時間の問題ね・・・」

ハチは「あの空間が出入り口ならそう思います・・・いや間違いないと
おもいます・・・ミャ」


 その頃アマテルは空間の歪みが消えた??どういこと?

伝助が「どういう事だワン」

「・・・・解からニャイ」アマテルは即答した。

マユが「移動したのかもニャ・・・?」

アマテルが「移動??それも一理あるかも・・・
移動するためにはエネルギーを必要とするの。それが一匹分しかなくって、
ハチさんで使い果たしたから消えたのかも・・・わたしの仮説ですけど」

伝助が「また解らなくなったワン。アマテル説明どうぞ」

「空間の歪みはなんらかのエネルギー場、というか地場の歪みなのかも
しれません。ハチさんが通ったことでエネルギーが消滅したか変化したら
消えたのかも・・・」

マユが「ということは?」

アマテルが「ハチさんも違う場所に移動したと考えられるニャ」

伝助が「何で解る?」

「その歪みは何度も見え隠れしてるからです」

「だから、何で解る?」

「私たちは同時にこの世界に来たわけではないからです。みんな別々の
タイミングで別々の場所から来たの、そういうことから分析しました・・ミャ」

伝助が下を向いたまま「あんた、それって一瞬で解ったのか?」

「ハイ・・・仮説ですけど」

「アマテルは何歳?」

「・・・3歳ですけど・・・ニャにか?」

「わし・・・15歳・・・・」


END
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