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【Eve(エバ)】全9話-7

7【ゲンゾウの霊界探訪記(天上編)】

 最初の霊界探訪から3ヶ月が過ぎた。

ゲンゾウはその後も頻繁に色んな霊界を訪れていた。

最初は地獄のような世界だったが人間の世と写し絵のような世界が
あったり、いつも明るく爽やかな心地良い世界だったりと、
経験する世界は数限りなく存在した。

たった3ヶ月で意識を集中すると簡単にトリップすることが出来た。

しかも初めの頃と違い、今では人と話しをしながらでも同時に霊界探訪
出来るまでになっていた。

そんな数ある中でもゲンゾウお気に入りの世界があった。
10回ほど訪れた世界だった。

その世界を気に入ったゲンゾウが6度目に訪れた時、その世界で
アパートを借りるまでになっていた。

何故、そこまでしてアパートを借りたのか覗いてみよう。

その前に、この物質世界とトリップする世界とは時間軸がまったく
違うことを知っておいてほしい。

物質世界は時間が直線的であるのに対して別世界は時間という概念が
存在しない。つまり、いつも今で同時に存在するという世界だった。

具体的に説明すると、ゲンゾウがアパートを借りた世界は今しかない
世界で、東京に居て京都に行ってみたいと心に思うと次の瞬間京都の
町にいることになる。

もう一つの理由が、ゲンゾウには好きな彼女がいた。名前はヨネ子。
そのヨネ子がこの世界に存在するのだ。

彼女を心で思うと同時に「何か用?」と、そこにヨネコが立っている
という世界だ。

携帯電話は世界各国、瞬時に繋がって話せるように、この世界は瞬時に
身体ごと移動し、会話が出来るのだった。

但し、この世のような肉体の身体は存在しない。すべてが意識の世界。

時間が無いという事は距離も存在しない。これが時間のない世界。

話を戻そう。

この世界は人間暦で西暦2048年。ゲンゾウの世界から見ると
近未来になる。

文明の進歩という概念は無かった。

ここでは霊性の進歩が大きな基本だった。

魂がいかに楽しむか・・・という事に重点を置いていた。

ゲンゾウはそんな世界が本来、魂のあるべき姿・・・と思った。

当然、この世界に老病死は存在しない。個々の想念エネルギー体のみが
存在する非物質の世界だからだ。

解り易く云うと宗教臭い表現だが、ここは霊界と云われる所で、
本来の魂の住まう世界でもある。

物質世界に馴れた人間には理解し難いと思うが、この世界が本当の
世界であり物質世界はひとつの幻影にすぎない。
この世界から観ると、人間の世界は夢の世界。

食事を採らなくても平気なのだった。

ついでに言うと、季節はいつも温暖で人間の世界で云う初夏か夏の
終わりのすがすがしい季節がこの世界だった。

太陽が沈まないから夜が存在しない。当然、朝や夜明けも存在しない。

但し、ゲンゾウのように観念がまだまだ物質世界の習慣にある場合は、
自分で季節や1日のサイクルを実際に作り上げてしまう。

これが想念の世界の特徴。

だから、こちらの世界に戻った魂は最初のうち、人間の頃の習慣が
優先され徐々に馴れていくというぐあい。

したがって、この世界はここに来て新しい魂と、神の域に達した魂では、
住む場所も考え方も大きく違うのであった。

上の世界に行くほどにすべてが自由になっていく。

意識の世界は無数の広がりがあるのも大きな特徴のひとつで、
ゲンゾウが初めて経験した地獄のような世界もこの世界の一部だった。

ゲンゾウは好奇心が強く、この世界に来ては図書館に行くのが習慣だった。
本の読み方は興味のある本に手を置くだけで内容が理解できた。

ゲンゾウが興味を示したのが宇宙だった。それ以外に音楽や絵など
アート芸術にも興味があった。

時間と距離といった制約が無いから思ったら即、実現。

自分が納得するまで調べる事が出来る。

たまに気分直しで自然を楽しみたいと思ったら次の瞬間、思い浮かべた
景色の中に移動出来るのであった。

ここに来ると物質世界の不便さを毎回感じたゲンゾウであった。

意識の合う者同士しか付き合わなくていい、というかバイブレーションの
違う者同士は、同じ場所に存在出来ないのであった。

当然、ストレスを感じる事は無い。

ゲンゾウがヨネ子と話す時は、想念の伝達だった。

つまりテレパシーのようなものであり、言葉を使わないので言葉の行き
違いが全くない。

お互いが重なり合う事がコンタクトの方法で、誤解などという概念も
存在しなかった。

雌雄一体の世界がこの世界の形で、ゲンゾウとヨネ子は自分の魂が
高まる事に喜びを感じ、徐々に住む世界も変わるのであった。

もう少し先のゲンゾウはアパートなど持たなくてもかまわないと
気が付くのだった。

こうしてゲンゾウは霊界の在り方を人間界に知らせようと

「ゲンゾウの霊界探訪記」と題して本を執筆するのだった。

晩年のゲンゾウの言葉に「この世の出来事の全ては霊界で仕組まれていた」とある。

その後「ゲンゾウの霊界探訪記」は翻訳され世界中で販売された。

垣間見た世界は100を数えた。晩年になって友人に「釈迦やキリストの
世界は宇宙みたいだった」と語っていた。

END
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