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【HisaeⅡ(ピリカ)】全14話-5

5,「体内離脱」

 「ミミ、モモおはよう!学校行ってくるね!」

ピリカは登校前に声をかけた。

ミミがどことなく淋しげに「ピリカ・・・さよう・%$&%」

「ミミなんか言ったの?」

「行ってらっしゃい・・・ピリカ・・・」

「ミミ、モモ帰ったら三人で尻別川に散歩に行こうね・・・」


6時間目の授業中、母親からメールが入った。

「ミミが調子悪いみたい!早く戻って事情を聞いてちょうだい」

ピリカは胸騒ぎを覚えた。

「マリコ、ゴメン今日、急用出来たの。掃除当番変わってほしい・・・いい?」

「わかった。早く帰りな」

ピリカは電話をかけながら自転車を走らせた。

「お母さん、ミミどうかしたの?」

「うん、朝から食欲無いし元気も無いのよ。だからミミに聞いてほしいの。
あんた今どこなの?」

「今、ビデオ屋の所だからあと15分くらいで着く」

「わかった。気をつけて!」

大急ぎで帰宅したピリカはミミのいる和室に向った。

「ミミ、ただいま・・・どうしたの?」

何の反応もなかった。

「ミミ・・・ねぇ・・ミミ返事して・・・」

ミミは目を開けた「ピリカ・・私・・もう駄目みたい・・モモは?・・・」

「え?・・今、モモ連れてくるからね待ってて」

ピリカはモモの所に走った「モモ・・・ミミがミミが・・」

「ミミがどうかした?」

「元気ないの・・・で・・モモって云ってるの」

モモも駆けつけた。

モモが「ミミ、どうしたの?・・・」

応答しなかった・・・いや出来なかった。

ミミは全身の力が抜けていくのを徐々に感じていた。

ピリカには意味が全く解らない。とにかくミミの一大事で生気が
抜けていくのが感じられた。

その時、ルーに聞いてみようと心に浮かんだ。

刹那だった「血栓が心臓の血管を詰まらせてるの。あなたが処置しなさい」
ルーの意識による応答だった。

「私、そんなことやったこと無いし出来ないよ」

「あなたがミミの身体に入って血栓を取除く、急ぎなさい」

「何のことか解らない??」

「あなたの右手をミミの心臓に当てて」

ピリカはルーの言われるように意味が解らないけど従った。

「次に意識を心臓の詰まった血管に集中して」

ルーの力強い意思の力を感じた。

次の瞬間ピリカの目に映ったものは心臓だった。

ルーが「これがミミの心臓なの」

「えっ、うっそでしょ?」

「次に太い血管を探す」

「血管だらけだけど・・・あっ??この血管だけ黒ずんでる・・・」

「その中に入って血栓を全部、取除く」

ピリカは指示に従った。

程なくして血栓はピリカの手によって完全に除去された。

「もう大丈夫」ルーの意識が伝わってきた。

次の瞬間ピリカの意識も元に戻った。

同時にミミは大きく息をして目を見開いた。

「みんなどうしたの?モモも家の中に入ってきてお母さんに怒られるよ・・・」

その声を聞いたモモは「あんたねぇ・・・」と言いながらミミの頭を
丁寧に舐めた。

母親がピリカにそっと聞いた「あんた、また何かやったの・・・?」

「うん、心臓に血栓があって取除くように指示されたから、
全部取ったの。そしたらああなった」

「あんた、凄いことやったのね・・・」

その時ミミが「ピリカお帰り。帰り早くない?」

「あんたねぇ、今にも死にそうだったのよ。あんたの心臓の血管が
詰まってて私が綺麗に掃除したんだよ・・感謝してよね」

「ピリカ・・・何でそんなに偉そうなの?」ミミには事の重大さが
理解できてなかった。

「あんたね・・・」ピリカの目から涙が溢れていた。

「私、隣の家に遊びに行ってきま~~す」ミミは走り去った。

ピリカが「モモ、どう思う?あいつの態度・・・」

モモはしっぽを大きく振り黙って犬小屋に戻っていった。

ピリカは部屋に戻り今あったことを振り返ってみた。
そして、もう一度ルーに語りかけた。

「さっきの事なんだけど人間の体内にも侵入出来るんですか?」

「できる」

「コツは何ですか?」

「呼吸を合わせること。あとは経験」

「経験か・・・」


ピリカが「モモ、散歩行くよ。ミミ戻った?」

「ハイよ。でもミミまだ帰らない」

「モモ、ミミ呼んで」

モモは隣家に向って遠吠えした。

すぐ反応があった「ミャ~~~」

ミミが足早に戻ってきた。

ピリカが「ミミ、身体の調子どう?」

「いつもと変わらないけど・・・なんで?」

「よかった。これから川に散歩行くけどミミはどうする?」

「ミミも行く」

「じゃあ三人でしゅっぱ~~つ!」

三人が川の土手を30分ほど歩いた時だった。何か黒いものが
道の端に横たわっていた。

「モモ、あの黒いのなんだと思う?」

「鳥の匂いがするけど、私には見えない」

「そっか・・目は私の方がいいもんね」

三人は恐る恐る近寄ってみた。

一番先に反応したのはミミだった。

「あれ、トンビでしょ・・・ピリカ怖いよ」

「そっか、ミミの天敵だもんね。でも・・あのトンビなんか変?」

そのトンビは羽を痛め、飛べないでいたのだった。

「トンビさん、どうしたの?」ピリカが優しく言った。

「車に羽をぶつけてしまい、何だか思うように飛べないのさ」

「痛むの?」

「痛い・・・あんた、人間なのに私の言葉解るの?」

「うん、解るよ」

遠くから見ていたミミが声を掛けてきた。

「ピリカ、早く行こうよ・・・トンビなんかほっといて行こうよ」

ピリカは振り返って「あんた、なに言ってるのよ!・・・たく!
生きものはみんな一緒なの。命あるものはみんな大事なの。
あんただってさっきは死にそうだったんだからそのくらい解りなさい!」

「ミャ~~%$#&%’」

ピリカはまたルーを念じた。

返答がきた「羽に骨折はない筋を痛めてる」

「ミミの時のように私に癒せる?」

「癒せる」

ピリカはトンビの顔をみて「トンビさん、これから私はあなたの
痛めてる羽を触ります。驚かないでね。危害は加えませんから」

トンビの羽にそっと手を当てた。

さっきと同じように小さくなったピリカには羽の筋が見えた。
翼の中程の筋が黒く熱も感じられた。

「ここね。え~と??どうするの?」

「健康な元の状態を意識して手でさする」ルーの指示だった。

一生懸命両手でさすっていると筋は段々と熱が引き色がピンクに変わってきた。

「もう大丈夫」ルーの声がした。

意識が戻ったピリカはトンビに「羽、動かしてみてくれる?」

トンビは何度か羽ばたいて見せた。

「全然痛くないです。もう家族と会えないかと思いました
ありがとうございました」

「もう大丈夫と思うけど、無理しないでね」

その後トンビは何度もお礼を云って飛び立った。

ミミが「ピリカ、行こう」

「ミミ、チョット待ちなさい。あんたねぇ、さっきの態度はなんなの?
あんたって冷たい猫ねぇ・・・」

「だって・・・トンビは何時も私達を空から狙ってるのよ
だから・・・つい・・・」

「あんた、聞いたでしょ?トンビにも家族がいるって」

「トンビに家族がいたらどうしたの???」ミミは不思議そうな顔をして言った。

「まっ・・どちらにしても命は大切なの!解った?」

「ミャ!」

「モモ行くよ・・・」


家に戻ったピリカは母に話した。

母親が「あんた何処でそんなこと学んだのよ?」

「ガイドのルーさんが教えてくれたの」

「私にもガイドってついてるのかい?」

次の瞬間ピリカに「いる」と伝わった。

「いますって」

母親は目を大きく見開いて言った。

「私も話してみたいけどどうやったらいいの?聞いてみて」

「肯定する・・・だって」

「肯定か・・・」

母親は人差し指を顎に当てながら「何を肯定?」

「自分のガイドの存在を肯定でしょが・・・」

「するする」

「お母さん、何それ?・・・その(するする)って・・なんか軽くない?」

「軽かった?」

「駄目だこりゃ・・・」


電気を消して就寝前にピリカは布団の中で今日一日のことを振り返った。
ショッキングなことが今日は多すぎた。

「何で私が?他にどんな能力があるんだろう?」

次の瞬間だった「チャネリング」心の声が聞こえた。

チャネリング?・・・何と?

「意識体」

「意識体???例えば?」

「ピリカの死んだ婆ちゃん」

「お婆ちゃんに会いたい・・お願いします」

次の瞬間、祖母の意識体とチャンネルが合った。

「お婆ちゃん?」

「ピリカかい?」

「うん、わたしピリカ・・・」

「みんな元気でいるかい?」

「うん、みんな元気だよ。お婆ちゃんはどんな世界にいるの?」

「お前が視たシャンバラに似たもうひとつ次元が上の世界」

「毎日、何やってるの?」

「他の存在達の役に立つ仕事だよ」

「お爺ちゃんは一緒?」

「いや違う世界だよ」

「なんで?」

「魂は自分の意識に合った世界が一番居心地がいいんだよ。
お爺ちゃんは別の世界にいるよ」

「お婆ちゃんは行かないの?」

「お婆ちゃんにはその世界は居心地が悪いのさ」

「へぇ~~?そうなんだ」

「こっちは私と同じレベルの人達なんだ」

「じゃぁ心の葛藤とかストレスって無いの?」

「全く無いよ。考えが全て相手に伝わるから、ピリカの世界のような
ことはないよ」

「楽しいの?」

「毎日楽しいよ。人間的な楽しさとは意味合いが違うけどね」

「どう違うの?」

「簡単に言うとピリカの世界は自分の為にするでしょう?
多くの人は自分の利になることを考え自分の為に蓄える。

そこが大きく違うの。この世界は他人に施しをするのが楽しいの。
みんな同じ考えだからいつも恵まれてるんだよ。全てがね」

「な~んか良くできた世界だね」

「ピリカの世界よりはね。機会があったらもっと上の世界も視てくるといいよ。
為になるから。

今日は懐かしかったよお前に会えて。またおいで」

そしてピリカは戻った。

「今日は何だか疲れた・・・寝よう・・・」

END
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