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【HisaeⅡ(ピリカ)】全14話-2

2,「キツネとネズミ」

 「お母さん、明日は真狩村で炊事遠足なの、ジンギスカンするから
お弁当は要らないけどおにぎり二つお願い・・・」

「真狩かい、真狩の何処行くの?」

「羊蹄山青少年の森だって・・・」

「あの下の方に湧き水が出ている池があるんだ。なんか凛とした雰囲気の池なんだよ、
時間あったらよってごらん」

「へぇ・・・寄ってみようかな・・・」


ジンギスカンを食べ終わり友達のミヨリと池に足を向けた。

ミヨリが「ねぇ、ピリカ・・・この池なんだけど少し空気観が違わない?」

「そうね、チョット違うかも・・・何だろう?」

「あっ!北キツネだ」ミヨリが指を指した。

するとそのキツネが突然「人間はさっさとここから消えろ!」
突然二人に向って大きな口を開け威嚇してきた。

「どうしてなの?」ピリカは咄嗟に声を掛けた。

「???・・・なんだおまえは?はやく私の子供を帰せ!」

「えっ、何?あなたの子供がどうかしたの?」

「お前もあいつらの仲間だろうが・・・噛み殺してやろうか・・・」

「ねぇ、キツネさん。どういう事か話しを聞かせてくれない?」

ピリカの能力を知らないミヨリはその様子を不思議そうに見ていた。

「ミヨリ、チョット危険だから先に戻ってて欲しいの」

「えっ?どうして?」

当然の疑問であった。

「お願い。事情はあとで話すから・・・ゴメン」

「???うん・・・じゃあ、先に戻ってるね。早く来てね・・・」

ミヨリは釈然としないまま戻っていった。

狐とふたりになったピリカが「キツネさん、聞かせて・・・」

「三日前、お前達人間が、私の子供を連れ去ったのさ・・・」

「どういう事?子供さん罠に掛かったの?」

「そうだ・・・返してくれ!」威圧的な雰囲気だった。

「今、あなたの子供は何処にいるの?」

「ニジマスを養殖してる家の横。木の納屋・・・」

「キツネさん、私に場所教えてちょうだい・・・わたし行くから」

「お前はあいつらの仲間じゃないのかい?」

「同じ人間だけど仲間ではないよ。信じて・・・それに、私はピリカっていうの。
ピリカって呼んで」

「わかった。私に付いてきて」

「ついて行くのはいいけど・・・あなたと違って早く走れないからね」

「わかったよ」


二人は納屋の近くに来た。

「あそこだよ・・・」

その納屋の側には違うキツネが茂みに潜んで様子を伺っていた。

「あのキツネは?」

「あれは私の旦那なんだ、ずっと隙を伺ってるの・・・あれからずっと食事もしてない・・・」

「三日も食べてないの?・・・」

ピリカは胸が痛くなった。

「私、頑張るからね。その前に旦那さんに私のこと説明してほしいの」

「わかった。今ここに連れてくるから、ピリカから説明して」

ピリカの前に二匹のキツネが座った。

「わたしピリカ、奥さんから事情は聞きました。私にお子さんを助けるお手伝いをさせて下さい」

「お前は誰だ?人間は信用ならん!」

「お父さん、この娘は違うの。チョット聞いて」母キツネは必死に訴えた。

ピリカが口を開いた「ごめんなさい・・・」

場に緊張が走った。

父親がピリカをにらんだ。

父狐をじっと見つめるピリカの頬に涙がこぼれていた。

その瞬間、父親の険しい表情が一変した。

「ピリカさん。あなたに何が出来ると?・・・」

「わかりません・・・でも、私はネズミさんと会話が出来ます。まず、中の様子を
伺ってみますから二人はネズミさんが怖がるといけないので少しの時間、
遠くへ離れていて下さい」

「お父さん、ピリカさんの言う通りにしましょう・・・」

二匹はその場から離れた。

「ネズミさん聞こえますか?誰か応えて下さい・・・ネズミさん・・・お願い」
ピリカは声にならない声で叫んだ。


「誰じゃわしらを呼ぶのは・・・?」

ネズミが一匹近寄ってきた。

「あっ、ネズミさん・・・こんにちは」

「なんじゃね?」

「ネズミさんにお願いがあります」

「なに?」

「あの小屋の中にキツネの子供がいるの様子を見てきて欲しいの・・・」

「なんでじゃ?」

「三日前に捕獲されたキツネの子供が気になるの・・・」

「あんたに何の関係が?」

「その子の親が心配してるの・・・」

「だから・・・?」

「だからって・・・親なら子供の安否は気になるものでしょう?」

「あんた名前は?」

「ピリカです」

「ピリカさん、あんた馬鹿か?

わしらネズミ達は猫やキツネ、トンビなどはわしらの天敵じゃ。
身内や知り合いの多くは奴らに殺された。
これからも永遠に続くじゃろうて。そんな天敵の助けになることを
なんでこのわしが??ふざけるな・・・」

よく考えると当然のはなし・・とピリカは気づき・・そして落胆した。

「そうですよね・・・天敵ですものね・・・」

でも気を取り直しピリカは「中の様子だけでも何とか・・・」

「あんた、しつこい!わしは行く。じゃあな」

「あの・・・」

「だから・・・しつ・・・」

その瞬間、ピリカは思わず叫んだ。

「穀物を沢山差し上げます。キツネさんにもうネズミには危害を
くわえないよう約束させますから・・・お願いします」

「ネズミだと??キツネはさん付けで、わしらネズミは呼び捨てかい・・・」

「いえ、ネズミさんです。すみません、、、すみません」

「穀物か・・・わかった。とりあえず様子を見てくるか」

そういい残しネズミは小屋に向った。


その頃ミヨリは「ピリカ、何処行ったんだろう?もう後片付けも終わり
いつ集合の号令が掛かるかわからないのに・・・どうしよう??・・・」


ネズミが小屋の中を覗いてみると、ゲージの中で身体を震わせた子キツネを確認した。

「なるほど・・・あの子のことだな・・・」

ネズミはその様子をピリカに伝えた。

「よかった・・・生きてた・・・」

「あのさ・・・ピリカとやら。ひとつ聞いていいか?」

「はい、何ですか?」

「キツネのことなのに、なんであんたがそんなに喜ぶの?」

「キツネでも人間でも親が子を思う気持ちは変わりないと思うの。
ネズミさんだって同じでしょ?」

「それはそうだけど・・・我々はキツネに・・・」

「ごめんなさい」ピリカは頭を下げた。

「あんたに頭下げられても困るけど・・・」

「わかった。もういいからあの子の親に無事を教えてあげな」

その様子を見ていた親キツネは歩み寄り思わぬ行動に出た。


その頃「あ~~どうしよう~ピリカちゃん・・・集合の合図出たよ~
ピリカちゃ~ん・・・何処に行ったの?」

「あと十分でバスは出発しま~す!生徒は全員バスに戻りなさ~い!」


二匹のキツネはネズミの前に歩み出た。

その様子を見たネズミは瞬間ピリカの後ろに回り込んだ。

キツネはネズミに「ネズミさん、ありがとうございます」深々と頭を
下げた。キツネがネズミに頭を下げた。前代未聞の瞬間であった。

「イヤ・・・その・・ワシはただピリカさんに言われて穀物をその・・・
う~~~ん・・わかった、もういい」

ネズミはピリカに向って話しかけた。

「あの小屋の鍵は簡単な仕掛けじゃった。ワシが中から鍵を外すから、
ピリカがドアを開けて中に入りなさい。

そして子狐が入ったゲージを開けて逃がしてやるのじゃ。
外であんたら二匹が子供を待ち受け一緒に逃げる。これでどうじゃ?」

父親キツネが「ネズミさん、ありがとうございます。私らはネズミさんに
何にも恩返しできません。せめて私達家族は一生涯ネズミを補食しません、
誓います!ありがとうございます」

「まああ、お礼はいいから。人間が戻る前に早いこと救出しようや」

救出は無事成功しキツネ親子は羊蹄山の森に帰っていった。

ネズミが「それにしてもピリカさんは不思議な人間じゃのう。
動物と会話できるし、人間だからという高ぶりもない。
キツネを助けても何の徳も無いそれどころか見つかったらあんたが
危害を受ける。まったく理解できない」

「私・・・これでいいのだ・・・」


それから二十分ほどしてピリカは集合場所にもどった。

みんなはピリカが熊に出くわしたのでは?警察に連絡しようか?
などなど勝手な憶測をして大騒ぎになっていた。

そこにひょっこりピリカが「みんなどうしたの・・・?」と突然現われたものだから
さあ大変!引率の先生に大目玉を食らうピリカだった。


それから数日後、あのキツネ親子が例の小屋の近くを通った。

母キツネが呟いた「あのネズミさん、どうしたかな?天敵の
キツネなんか助けて仲間外れにあってないかしらね?」


父キツネが「そうだよな、ネズミがキツネを助けるなんて
ありえないよなぁ・・・いや、あってはならないよな絶対に」

子供キツネが「そうだよね、すごいネズミさんだね」

すると、少し離れたところに猫に追われて逃げ回るネズミを発見した。

母キツネがその様子を見ていて「お父さん、あのネズミはもしかして・・・あの時の・・・」

「そうだ間違いない!・・・」

父キツネは一目散に逃げるネズミのあとを追った。

ネズミと猫の間に割り込んで、振り返り猫を威嚇した。

猫が「なんだお前は?そこをどけ・・・そいつは俺の獲物だ」

父キツネが「そうはいかん。このネズミは俺の親友だ・・」

「なにが親友だ。お前は馬鹿か?・・・キツネとネズミが親友なんて見たこもないし
聞いたこともない。とっとと、そこをどきな!おまえを引っ掻くよ・・・」

「何だと!キツネに喧嘩売るつもりか?・・・いつでも相手になるぞ」

「ちぇ・・・」猫は力量の違いを感じそそくさと退散した。

キツネは「ネズミさん大丈夫だった?怪我してませんか?」

「いやぁ助かった。まさかあのキツネさんに助けられるとは・・・ありがとうございますだ」

「いえこちらこそ、先日は本当に助かりました」

こうしてキツネとネズミの不思議な交流がこの村で始まった。

そんなことが起こってるとは思ってもみないピリカは今日も元気に登校していた。

END
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